母の温もりを胸に、ミニ骨壷と共に生きる日々
投稿日: 投稿者:祈り百貨店
はじめに
人生の終わりを迎えることは、私たちにとって自然の摂理でありながら、同時に心の奥深くに痛みを伴うものです。数年前、私が大切な母を見送った時、母が残したエンディングノートを手にし、どのように彼女を送るべきかを考えました。母の生き方、彼女が私に伝えたかったこと、そして私自身の思いを整理するための時間が必要でした。その過程は、私にとって心の整理だけでなく、母との絆を再確認する貴重な時間でもありました。
シンプルな火葬とお別れ会
母の希望に従い、シンプルな火葬を行うことに決めました。母は生前、「お金をかけずに、心を込めたお別れをしてほしい」と度々言っていました。その言葉を思い出し、私は友人や親戚を招いて、心温まるお別れ会を開くことにしました。母の好きだった花を飾り、彼女が大好きだった音楽を流し、思い出話に花を咲かせました。集まった人々は皆、母を愛し、彼女の優しさや笑顔を思い出しながら話をしました。
その時間は、悲しみだけでなく、彼女との思い出を再確認する大切な瞬間でした。父を早くに亡くした母は、私にとって唯一無二の存在であり、彼女の生き様は私の人生そのものでした。母が教えてくれたこと、彼女と過ごした日々を思い返しながら、私は涙を流しましたが、それは悲しみだけではなく、感謝の涙でもありました。
合祀墓とミニ骨壷
火葬後、母の遺骨は合祀墓に収められましたが、一部はミニ骨壷に分骨しました。合祀墓は、母がずっと住み慣れた町の静かな場所にあり、彼女が安らかに眠る姿を想像すると、少し安心感が得られました。しかし、一部の遺骨をミニ骨壷に分けたことで、私の心の中に新たなスペースが生まれました。その小さな壷は、私のサイドボードの一角に置かれ、母の存在を身近に感じることができる特別な場所となりました。
ミニ骨壷は、母が好きだった色合いで作られており、毎日その姿を見ることで、彼女との絆を感じることができるのです。小さくて可愛らしいその壷は、母の愛らしい笑顔を思い出させ、私の日常に温もりを与えてくれます。
手元供養のスペース
サイドボードには、母の手札サイズの遺影写真とミニ骨壷が並んでいます。遺影写真には、母が若い頃の笑顔が収められており、いつ見ても心が和みます。季節の花を手向ける花立てと、蝋燭立ても置きました。花立てには、その時々の季節を感じる花を選び、母に対する思いを込めて手向けています。春には桜、夏にはひまわり、秋には紅葉、冬には白い花を選び、母が喜んでくれるような色合いを意識しています。
お線香の代わりにお香を用意し、毎日母を思い出す時間を大切にしています。お香の香りは、母の優しい香りを思い起こさせ、心が落ち着く瞬間を提供してくれます。毎朝、祖母が教えてくれたように、心を込めてお香を焚くことで、母に対する感謝の気持ちを伝えています。このような手元供養の時間は、私にとって心の安らぎとなり、母との絆を深める特別な瞬間となっています。
毎日の思い出と葛藤
毎日、母の思い出と感謝、そして時には葛藤が私の心を埋め尽くします。母が教えてくれたことや、共に過ごした日々を思い返しながら、私は新たな一歩を踏み出そうと奮闘しています。母の存在が、私の背中を押してくれるのです。
時には、母が生きていたらどんなアドバイスをくれたのだろうと考えることもあります。彼女の優しさや強さを思い出し、日々の悩みに立ち向かう力を与えてくれます。例えば、仕事でのストレスや人間関係の悩みがあるとき、母の「大丈夫、あなたは一人じゃないよ」という言葉が耳に響き、心が軽くなるのです。
母との会話
母と過ごした日々を思い出しながら、私は彼女との会話を心の中で続けています。時には、ミニ骨壷に話しかけることもあります。「今日も頑張ってるよ、母さん」と言うと、まるで彼女がそばにいてくれるような気がするのです。私が困難を乗り越えようとするたびに、母の教えが心の支えとなり、彼女の愛が私を包んでくれます。
結びに
母を見送ることは、私にとって人生の一つの節目でした。ミニ骨壷を通じて、彼女との絆を深め、日々の生活の中で彼女を感じることができることに感謝しています。これからも、母との思い出を大切にしながら生きていきます。彼女の教えを胸に、新しい道を歩んでいくことが、私にとって何よりの供養だと感じています。
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